桐たんすvsプラケースvs不織布:温湿度比較で見えた収納の違い

実測データで判明!桐家具の実力と収納環境の違いとは?

桐家具の魅力を発信し続けている私たち大川家具ドットコムでは、このたび実際の温湿度データを用いた”収納環境の実証実験”を行いました。

「桐家具は本当に湿気に強いの?」「外気と比べてどのくらい違うの?」そんなお客様の疑問に、数字とグラフでお応えします。

今回のレポートでは、複数の収納ケースや家具に防水温湿度計を設置し、2025年4月11日から17日までの約1週間にわたって継続的にデータを記録。その結果、意外な発見と確信が得られました。


【実験対象】

以下の8種類の収納・保管環境で温湿度の推移を記録しました。


総桐クローゼット内チェスト

蓋式桐衣装ケース

なごみチェスト(ヒノキ前板・レールなし)

プラスチックケース

不織布収納ケース

アイクーリ(レール付きチェスト)

 


📈 温湿度の統計データ比較

温度標準偏差ってなに?

温度の「標準偏差」とは、その場所の温度がどれくらい上下にブレているか(変動しているか)を表す数字です。

例えば──
– 毎時間15℃ピッタリで変化がない → 標準偏差は0(とても安定)
– 朝は10℃、昼は20℃、夜は5℃と大きく動く → 標準偏差は大きくなる(不安定)

つまりこの数字が小さいほど「温度が安定している環境」であり、大きいほど「温度が不安定でモノにとってストレスがかかる環境」になります。

家具や衣類の保管においては、この温度の安定性がとても重要です。

 

そして、以下が今回の結果です。

 

 

ケース名 平均温度 最低〜最高 温度変動幅 平均湿度 湿度変動幅 湿度の安定度
なごみチェスト 14.84℃ 10.9〜19.6℃ 2.15℃ 62.42% 61〜65% ★★★★★(0.93)
総桐クローゼット 14.61℃ 10.6〜19.6℃ 2.17℃ 61.27% 59〜65% ★★★★★(1.38)
桐衣装ケース 14.74℃ 10.2〜20.7℃ 2.42℃ 59.50% 56〜65% ★★★★☆(1.78)
アイクーリ 14.86℃ 10.6〜20.3℃ 2.32℃ 62.18% 59〜67% ★★★★☆(1.82)
プラケース 14.97℃ 10.3〜21.5℃ 2.53℃ 61.99% 54〜71% ★★★☆☆(3.95)
不織布ケース 15.08℃ 10.7〜20.8℃ 2.37℃ 58.97% 50〜70% ★★☆☆☆(5.79)
倉庫内 15.27℃ 10.6〜21.8℃ 2.56℃ 60.85% 48〜73% ★★☆☆☆(6.32)
外気(気象庁・福岡県久留米市) 13.50℃ 6.6〜22.6℃ 4.01℃ 69.37% 29〜100% ☆☆☆☆☆(24.9)

※「湿度の安定度」は湿度標準偏差に基づく5段階評価です。


🌡 温度変動:外気の変化と家具の違いに注目

気象庁の外気温は1日の中で最大8℃以上の変動があり、温度標準偏差も 4.01℃ と非常に大きくなっています。これは衣類・木製品など温度ストレスに弱いモノにとってリスクとなり得ます。

一方、なごみチェストや桐ケースなどの木製家具内では、温度変化が非常に穏やかで、内部に保管された衣類や紙製品に優しい環境が保たれていました。


💧 湿度変動:桐家具の圧倒的な安定力

不織布ケースの湿度標準偏差は5.79%、倉庫は6.32%、外気にいたっては**標準偏差24.9%**という、圧倒的に大きな湿度変動(29%〜100%)が確認されました。

それに対して、なごみチェストはわずか 0.93%。これは桐材やヒノキ材の持つ優れた調湿効果によるものと思われます。

さらに注目すべきは、「なごみチェスト」は前板がヒノキでできたチェストでありながら、温度・湿度ともに最も変動が少ない結果となったことです。その理由は、製品の組み立て精度が高く、空気の密閉性が非常に優れているからと考えられます。

このチェストは、もともと婚礼家具を作っていた工房が製造しており、現在は民芸家具なども手がける技術力の高い職人の製品です。

以前いいタンスの代名詞として言われていた、「引出しを閉めると他の引出しが出てくる」

これは、他の引出しが出てくるのはめんどくさいですが、高い密閉性の裏返しです。

 

一方、総桐クローゼットチェストは、レールなし・引き出し桐材といった条件は揃っているものの、量産家具のために若干の隙間があるのかもしれません。そのわずかな違いが、調湿性能の差として表れている可能性があります。

 

アイクーリについては、レール付きの構造により密閉性がやや劣っており、タンスの中では最も変動が大きい結果となりました。

 

また、桐衣装ケースは湿度を全体的に低めに保っていたのが印象的でした。これはおそらく、桐材無垢の面積が最も大きいため、湿気を吸収しやすい構造だったためだと考えられます。やや意外な結果でしたが、素材の質と表面積の関係性が強く現れたといえるでしょう。

 

結果として、桐家具内では「安定した環境」が実現されています。



🧾 実証から導く結論

  • 桐・ヒノキ家具(なごみ、桐衣装、総桐)は群を抜いて安定していた。
  • 倉庫内は見た目以上に優秀。スレート作りでも空気のクッション効果があった。
  • 外気は最も過酷な保存環境であり、直接影響を受ける収納は注意が必要。
  • プラ・不織布・アイクーリも工夫次第で悪くないが、長期保存には注意が必要。

🧍‍♀️ 大事な衣類を収納する為にこの実験結果が意味すること

もしあなたが、大切な衣類や着物、思い出の品をきれいに長く保管したいとお考えなら──
この実験データがきっと参考になります。

  • 家の中の収納環境って、思っている以上に温度や湿度が変動しています。
  • 特に外気や押し入れに近い場所では、気づかないうちにモノにダメージが蓄積しているかもしれません。
  • 今回の実験では、桐家具やレールなし引出し家具の内部が非常に安定していることが、実際の数値で証明されました。

たとえばこんな方におすすめです:

  • 大切な着物や衣類を湿気や虫から守りたい
  • 赤ちゃんや子どもが触れる衣類や布製品を清潔な環境で保管したい
  • 季節物の服や布団を長く大切に使いたい
  • 引越しや新居で、信頼できる収納環境を選びたい

今回のレポートを通じて、「本当にモノを守れる家具ってどれだろう?」と考えるきっかけになれば幸いです。


🏁 最後に:家具はモノを守る道具である

家具はただの収納ではありません。暮らしの中で、大切なモノを適切な環境で守るための道具です。見た目のデザインだけでなく、素材の力・構造の工夫・そして実際の性能にこだわる時代が来ています。

ぜひあなたも、データで裏付けされた家具を選び、大切な衣類や思い出の品を永く守ってください。


【関連リンク】
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なごみチェストに付いて日本ネット新聞社様の取材受けました
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