組立済み家具の利点とお客様組み立て家具の弱点について

家具の通販で「組立済み家具」と「お客様組み立て家具」の2種類がありますよね。
文字通り、工場で組み立てて設置するだけの家具か、

バラバラの状態で納品されてお客様にて組み立てるかの違いがあると思いますが、

そういう表面上の違いだけでない違いを家具通販専門家の立場から比較したいと思います。

1、強度・長く使えるか
まず、一番気になるのが、家具の強度、長く使っても壊れないか?
というところだと思います。

「工場にて組み立てた家具」は、
家具の板と板の接合にダボ組というのを主に使います。
ダボ組とは木粉を圧縮したピンのことで、
接合部分に丸い穴を空けてダボを入れ、接着剤にて圧着します。

ダボは木粉を圧着したものなので、接着剤の水分で膨らみ、
工場のプレス機で圧着するため、非常に強固に結合します。

高価な家具ですと「あり組」や「ほぞ組」などの組み手を使ったりして、
強固に木材と木材を組み合わせます。

「お客様組み立て家具」は、主にネジ留で止めると思います。
ネジ留も強固に締めれば強いのですが、ねじ込み式のため
年月が経ったり、動かすことが多いとだんだん緩んできたりします。

また、接合箇所がネジ留の場所だけなので、一部分に強い力がかかります。

したがって、動かす箇所が多い家具(チェストや食器棚など)は
お客様組み立て家具は使い捨てる感覚で使われた方がいいかと思います。

勝手チャートの点数
(私の主観で付けてますのでご了承ください)
工場組み立て家具耐用年数 20年
お客様組み立て家具 8年

2、部屋に設置までの手間
家具を買ったはいいが、使えるようになるまで時間がかかると
なかなか収納する予定のものが仕舞えないということになります。
そういった手間の比較です。

「工場組み立て家具」
すでに組みあがっている家具ですので、設置するだけでOK。
弊社はさらに、家具は宅内設置配送が基本なので、
作業員が搬入するのを見ているだけで設置が済みます。

「お客様組み立て家具」
パーツがバラバラの状態で届きます。
家具の種類によって組み立て時間の差がありますが、
チェスト等は1時間ほどかかるみたいです。
(これも慣れた人の時間)

勝手チャートの点数
(私の主観で付けてますのでご了承ください)
工場組み立て家具設置時間 20分(見守るだけ)
お客様組み立て家具設置時間 100分(組み立て軽作業)

3、価格
お客様組み立て家具が普及している原因の一番は価格が抑えられることだと思います。
工場組み立て家具にすることによって発生するコストは、
1.組み立て工員人件費
2.大型家具配送費(組立済み家具は内部に空洞部分が多いため容積がかさみ、配送費が高めになります)
3.玄関先まで配送か宅内設置配送かの配送費

更に、組立済み家具の場合、海外から輸送しようとなると、
コンテナ輸送になると思いますが、これも無駄に容積を取るので、
組立済み家具は国内生産が多いです。

逆にお客様組み立て家具は組み立て工員の技術もいらないし、
容積が抑えられるので人件費の安い海外からの輸入が多いです。
こういったところも価格差が出る要因です。

勝手チャートの点数
(私の主観で付けてますのでご了承ください)
70cm幅ホワイトハイチェストでの比較

工場組み立て家具価格 49,000円 (大川家具ドットコム)
アイクーリハイチェスト70センチ幅【国産家具】【完成品】【宅内設置】
アイクーリハイチェスト70センチ幅

お客様組み立て家具 12,990円(IKEAさんより)

クレンハイチェスト

4、見た目(デザイン)
またまたIKEAさんとの比較になって申し訳ないのですが、
お客様組み立て家具はやはり面と面の接合に手間をかけられないので、
どうしてもシンプルな見た目になってしまいます。

IKEAさんのチェスト一覧


大川家具ドットコムのチェスト一覧

勝手チャートの点数
(私の主観で付けてますのでご了承ください)
工場組み立て家具 5点
お客様組み立て家具 5点
見た目の好みは人それぞれですので、どちらも5点で。

5、カスタマイズ・サイズ・形・色などの変更の対応度
家具を購入される方はなるべく家に合った家具を購入したいと思うので、
万が一市販の家具で思い通りの家具がない場合は別注対応も一つの手かと思います。
そういった場合の対応について

「工場組み立て家具」は、多くは量産家具でサイズ変更など
難しいですが、小規模小ロットで生産されている工場や、
受注生産の工場はサイズや樹種など変更を受けているところが有ります。
また、そういった場合、弊社の設計スタッフがお客様の要望を聞いて
図面を書き工場に依頼することもできます。

「お客様組み立て家具」は、
価格を抑えるために大規模工場で流れ作業で作られるところが多いです。
そのため、変更は一切受けないところが殆どです。

ただ、近年からこれからは設計図を自分で作って、3Dプリンターで出力したパーツか
ルーターで切り出した材料をお客さんで組み立てたり。
といった流れが家具業界にも来るかと思います。

その場合は設計の自由度はかなり上がります。
設計するスキルはいりますけど。

勝手チャートの点数
(私の主観で付けてますのでご了承ください)
工場組み立て家具カスタマイズ度 5点(工場によってできるできないがある)
お客様組み立て家具カスタマイズ度 1点(現時点ではスキルがあって時間もあればこれからは好きなようにできる)

というわけで各項目に勝手に点数を付けてチャートにしました。

(すべて5点満点で、差異を倍率に変換しました)
例:12,990円と49,000円であれば、3.7倍の差があるので、12,990円が5点の場合49,000円は1.5点で表示しています。

家具を完成済み家具にするか自分で組み立てる家具にするか迷っている人に参考になればと思います。