大川家具とは何か?本当に「大川で作られた家具」を選ぶための正しい知識
大川家具とは何か?本当に「大川で作られた家具」を選ぶための正しい知識
「大川家具」という名前は日本中で知られていますが、
実は、現在の市場では「大川で作られていない家具」も大川家具として販売されていることがあります。
本記事では、大川家具の歴史から、商標と産地のギャップ、そして本当に大川産の家具を選ぶための具体的なチェック方法までをまとめました。
目次
- 1. 大川家具の原点 ─ 日本製×量産×高コスパの家具産地だった
- 2. グローバル化で「安さの強み」が通用しなくなった理由
- 3. 「大川家具」という商標はあるが、産地保証制度ではない
- 4. 大川市内にも海外製の家具を扱う会社があるという現実
- 5. 大川近辺の工場にも「職人型」と「量産型」がある
- 6. なぜ工場や会社の姿勢の違いが重要なのか
- 7. 本当に「大川で作られた家具」を選ぶためのチェック方法
- 8. 大川家具ドットコムの立ち位置 ─ 国産限定+大川産中心+独自認定制度
- 9. まとめ:購入前に必ず確認してほしいこと
1. 大川家具の原点 ─ 日本製×量産×高コスパの家具産地だった
福岡県大川市は、江戸時代から続く日本有数の家具産地です。
大川伝統工芸振興会公式サイトより
戦後から高度経済成長期にかけては、職人の木工技術と量産体制を組み合わせることで、
「日本製で品質が良いのに、価格も手頃な家具」を全国に供給してきました。
いわば、大川は
「品質 × 価格 × 生産量」
を両立させ、日本の生活を支えてきた家具産地と言えます。
そのため、長い間「大川家具=信頼できる日本の家具」というイメージが育ってきました。
2. グローバル化で「安さの強み」が通用しなくなった理由
しかし、2000年代以降のグローバル化によって、家具産業の構造は大きく変わりました。
- 中国・東南アジアを中心とした低コスト生産拠点の台頭
- 原材料費や人件費の格差の拡大
- 物流やコンテナ輸送の発達による、海外製家具の大量流入
その結果、
「安くて良い量産家具」というポジションは、海外生産の家具に奪われていきました。
日本国内で人件費や品質基準を守りながら、単純な価格勝負をすることは、非常に難しくなったのです。
これは大川に限らず、日本の家具産業全体に共通する流れだと考えられます。
3. 「大川家具」という商標はあるが、産地保証制度ではない
ここで知っておきたいのが、「大川家具」という言葉は、実は商標として登録されているという点です。
商標権者は「大川商工会議所」で、特許庁の商標検索で確認することができます。
現状では、
商工会議所がロゴの使用を厳密に管理しているわけではなく、
別デザインの「大川家具」ロゴや表記が使われていても特に制限されていません。
その結果、次のような状況が生まれています。
- 大川市外の企業でも、「大川家具」という店名や表示を使用している
- 海外製の家具でも、店舗側が「大川家具」として販売しているケースがある
- 消費者が「大川市で作られた家具」だと誤解してしまう可能性が高い
これは制度がそうなっているだけで、必ずしも違法というわけではありません。
しかし実際には、「大川家具」という言葉だけでは産地や品質は判断できないという点が、購入者にとって大切なポイントになります。
4. 大川市内にも海外製の家具を扱う会社があるという現実
さらに、もう一つややこしくしているポイントがあります。
それは、大川市内に本社がある会社であっても、必ずしも大川産の家具だけを扱っているわけではないということです。
大川市やその周辺地域には、
- 大川産の家具を中心に扱う会社
- 海外製家具や他産地の家具を多く扱う会社
- 店名に「大川家具」と付いているが、海外製の家具が多く含まれる会社
など、さまざまなスタイルの販売会社が存在します。
つまり、
「会社の所在地が大川市だから安心」だとは言い切れないということです。
所在地だけで判断すると、思っていたのと違う家具を買ってしまうリスクがあります。
5. 大川近辺の工場にも「職人型」と「量産型」がある
もう一つ、大川の実態を理解するうえで大切なのが、
大川近辺の工場の「つくり方」にも、タイプの違いがあるという点です。
大川家具工業会や大川市近辺の工場の中には、大きく分けて次のようなタイプが存在します。
(1)1品1品、職人が丁寧につくる「工房型・職人型」の工場
- 木材の選定を職人が一本ずつ目で確認している
- 組み立てや仕上げに手作業が多く残っている
- オーダーや別注にも柔軟に対応できる
- 製造スピードよりも、強度・精度・仕上がりの美しさを優先している
いわゆる「クラフトマンシップを継承する工場」であり、耐久性や細部の仕上がりにこだわった家具づくりが行われています。
(2)流れ作業・ライン生産でコストを抑える「量産型」の工場
- 部材を大量に仕入れ、ラインで効率的に組み立てる
- 人の手を最小限にして、生産スピードとコストダウンを重視
- 大ロット向けの商品が中心になる傾向
こちらはいわば「ファクトリー型」で、安定した品質で大量に商品を供給するのが得意なスタイルです。
どちらが良い・悪いという話ではありませんが、
同じ「大川製の家具」と言っても、工場やつくり方によって、耐久性・質感・価格が大きく変わるという点は、知っておいて損はありません。
6. なぜ工場や会社の姿勢の違いが重要なのか
ここまで見てきたように、
- 「大川家具」という言葉だけでは産地が確定しない
- 大川市内にも海外製を扱う会社がある
- 大川近辺の工場にも、職人型と量産型がある
という複雑な状況があります。
その中で、本当に大川産の家具を安心して選ぶために重要なのは、
「どの工場と組んで、どのような方針で家具を扱っている会社なのか」
という販売会社側の姿勢です。
・大川産の家具だけを扱おうとしているのか
・どの木工所とどのような関係を築いているのか
・職人型の工房と組んで、長く使える家具づくりをしているのか
といった情報は、その会社の理念や発信内容から読み取ることができます。
7. 本当に「大川で作られた家具」を選ぶためのチェック方法
それでは、本当に大川で作られた家具を選びたい人は、何を基準に判断すれば良いのでしょうか。
会社の所在地だけでは十分ではないため、次の3つのポイントを意識することをおすすめします。
① 信頼できる販売会社かどうかを見る
- 「大川産の家具だけを扱う」という方針が明確に示されているか
- どの工場・木工所と取引しているか、情報を公開しているか
- 安全性・耐久性・環境への配慮などの説明がしっかりしているか
② 製造元・工場名がきちんと説明されているか
- 「大川市(または周辺地域)のどの工場で製造された家具か」を明記しているか
- 職人や工場の写真・インタビューなど、つくり手の情報が公開されているか
③ 最後は、販売会社に直接「念押し」する
そして最も確実なのは、購入前に販売会社へ直接確認することです。
「この家具は本当に大川で作られた家具ですか?」
「どの工場(木工所)で製造されていますか?」
誠実な会社であれば、どこで・どのように作られているかを、できる範囲で丁寧に説明してくれるはずです。
また、販売店から「大川家具です」と言われた場合には、
「大川のどこの工場で作られたのですか?」
と一歩踏み込んで質問してみるのも良いでしょう。
この質問だけで、販売会社の透明性や姿勢がはっきりと分かります。
さらに注意点として、現場の販売員の中には、
「大川家具」が家具産地であることを知らず、ひとつの会社名だと誤解しているケースも実際にあります。
こうした背景もあり、販売員の説明だけに頼らず、
「どの大川の工場で製造されていますか?」
と具体的に確認することがとても重要です。
8. 大川家具ドットコムの立ち位置 ─ 国産限定+大川産中心+独自認定制度
こうした背景がある中で、大川家具ドットコムは、次のような方針でショップ運営を行っています。
① 取り扱う家具はすべて「国産家具」
大川家具ドットコムでは、すべての商品が日本国内で製造された国産家具です。
海外製の家具は取り扱っていません。
「安心・安全で、長く使える日本製家具だけを届けたい」という考えから、この方針を徹底しています。
② メインは「大川家具工業会」や大川市近辺の工場で作られた家具
当店が扱う家具の中心は、
- 大川家具工業会に所属する工場
- 大川市およびその近辺の木工所・職人型工房
「本当に大川で作られた家具」を、できるだけわかりやすい形で届けることを目指しています。
③ 大川家具の中でも品質の高い家具を「独自認定制度」で評価
さらに大川家具ドットコムでは、
大川で作られた家具の中でも、
- つくりの丁寧さ
- 構造の強さ
- 安全性・環境配慮
- 長く使えるかどうか
といった観点から、特に品質の高い家具を独自の認定制度で評価しています。
詳細は以下のページで公開しています。
👉 大川家具の上位版認定制度 UPPER OKAWA
単に「大川家具です」と言うだけでなく、
「大川の中でも、なぜこの家具がおすすめなのか」を、基準とともにお伝えするための取り組みです。
9. まとめ:購入前に必ず確認してほしいこと
現在の市場では、
- 「大川家具」という名前だけでは産地や品質は判断できない
- 大川市内の会社でも、海外製の家具を扱っている場合がある
- 同じ大川産の家具でも、工場やつくり方によって品質が大きく変わる
という、少し複雑な状況があります。
だからこそ、本当に大川産の家具を選びたい場合は、
- どの工場・木工所で作られているのか
- 販売会社がどのような理念で家具を選んでいるのか
- 疑問があれば、購入前に必ず「これは本当に大川で作られた家具ですか?」と確認すること
この3つを意識するだけで、
「思っていたのと違う大川家具」を買ってしまうリスクを、大きく減らすことができます。
大川家具ドットコムは、
国産家具のみ、そして大川産中心という方針のもと、
お客様が安心して「本当に大川で作られた家具」を選べるような情報発信と商品選定を続けていきます。
【この記事を書いた人】
堤太陽(Taiyo Tsutsumi)
株式会社大川家具ドットコム代表取締役社長。宅地建物取引士
家具の町、福岡県大川市で生まれ育ち、新卒と同時に北九州市のマンション業者に就職。2003年に改正建築基準法によりシックハウス症候群への対処が求められ低ホルムアルデヒド建材の重要性を感じた。 2005年退職後4か月のヨーロッパ放浪。2006年より家業である家具卸を手伝っているうちに、大川市の基幹産業である家具製造の未来に危機感を感じ、「大川を再び家具で盛り上がる街にしたい」
という思いから、2006年に大川家具ドットコムというネットショップを立ち上げ、 大川家具を全世界に広げたいと模索中。
2019年 経営革新認定
2021年 JETROの越境EC「Amazon.com Japan Store」採択
2022年 「デジタルツール等を活用した海外需要拡大事業」補助金採択
2023年 越境EC用英語サイト「https://shop.okawakagu.com/」開設
2024年 創立10周年式典開催・越境EC向けに世界へボカン株式会社と提携








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